胎盤やさい帯を流れている血液に造血幹細胞がたくさん含まれていることが確認されたのは1974年のことです。造血幹細胞とは、赤血球や白血球などの血球を造る細胞です。重い血液疾患(再生不良性貧血、白血病など)の場合には、この造血幹細胞を移植することが治療上必要となります。このような患者さんには、いままで骨髄幹細胞移植しか手段がありませんでした。しかしながら、1989年に骨髄移植のかわりにさい帯血を用いた治療が行われ、以後、さい帯血幹細胞移植が注目されるようになったのです。
さい帯血は、移植したときの免疫反応が少ない、より幼若な幹細胞が含まれており治療効果が高いなどの長所がありますが、なによりも採取するときに提供者の苦痛がないことが利点です。赤ちゃんが生まれて臍(へそ)の緒を切ったあとに、胎盤側に残ったへその緒から採血しますので、赤ちゃんはもちろん、お母さんの痛みもまったくありません。胎盤が娩出されるまでの時間に通常は終了し、普通の産後の処置にもまったく影響はありません。
採取されたさい帯血は、東海大学のバンクでHLA(白血病の血液型)などの検査を受け、冷凍保存されます。全国の病院で幹細胞移植が必要な患者さんが発生した場合には、インターネットなどを通じて適合さい帯血の照会が行われます。
現在、厚生省の認めるさい帯血バンクは、全国でまだ10ヶ所しかありません。HLAの適合率は、何千分の一なので多数のさい帯血を保存しなければなりません。ですから、当院でお産をなさる方に、ご理解とご協力をいただければと思います。この施設がさらに増え、難病に苦しむ多くの患者さんが救われるよう願っています。 |