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こんなときどうするの? 〜こどもの病気とその対応〜
             『もしアレルギーかもしれないと言われたら』
 
『すこやか』2008年4月号に掲載
伊勢原協同病院 小児科
医長 村藤 大樹
冬から春にかけてのこの季節、鼻水やせきが出て、医者に行ったら「アレルギーかもしれない」と言われた・・・。このような時、対処方法に困ることがあると思います。薬はどうするか、家での食事は、掃除は・・・。
今回は、「アレルギーかもしれない」と言われたときの解釈の仕方、対処方法を説明したいと思います。
なお、ここで言う「アレルギー疾患」とは、主に気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、じんましんのことを指します。
本当にアレルギーか?
たとえばこの時期に鼻水やせきが出たからと言っても、必ずしもぜんそくや花粉症であるとは限りません。最も多いのが、かぜなどの感染症である場合です。鼻水・せきはもちろん、感染症で肌に発疹が出る場合もありますので早合点は禁物です。アレルギーの治療をしている間に感染症が悪化しては困りますから、判断に迷う場合は医師に相談してください。

原因は?
アレルギー疾患の場合、どうしても「原因は何だろう?食物?ダニ?スギ?・・・」と考えがちです。しかし、病気によっては原因を考えても仕方がないもの、原因そのものが分からないものも多いのです。
ぜんそく発作の原因は感染症(かぜなど)、気温・気圧の変化が多く、ダニ・ハウスダストなどのアレルゲンの吸入はそれほど多いわけではありません。
じんましんの原因は「食物」が多いと思われがちですが、実は8割が「原因不明」です。私たちは1回の食事でたくさんの種類のものを食べますから、その中でどれが原因なのかを判定することは意外に難しいことです。また、寒冷じんましんのように食物が関係しないものもあります。
アトピー性皮膚炎の原因は「乾燥肌」と「炎症」です。アレルギー性の炎症が原因であることもありますが、アトピー=アレルギーというわけではありません。食物がアトピー性皮膚炎の悪化に関与していることもありますが、当院小児科のアトピー外来では、アトピー性皮膚炎の治療として食物制限が必要な患者さんはほとんどいません。

検査は?
アレルギーが疑われた場合に「アレルギー検査」を勧められる場合が多いと思います。アレルギー検査で最も簡単に行えるのがRASTと呼ばれる血液検査です。以前のアレルギー治療では、アレルギーが疑われた場合にまずこの検査を行い、陽性になった食物を制限するといった指導が行われていました。しかし、現在のアレルギー治療ではこの検査は必ずしも必要な検査ではありません。的中率は約60%といわれており、残りの約40%では摂取しても何も起こらないか、陰性と判定されても摂取して症状が出たりします。陰性・陽性の判定はヒスタミン遊離試験やプリックテスト、パッチテストなど、ほかのアレルギー検査の結果と併せて行いますが、最も重要なのは「摂取して症状が出る」「摂取を避けると症状がなくなる」ということです。

治療は?
上で述べたように、アレルギーの治療では原因不明の場合もありますので、治療方針の決定には注意が必要です。原因を突き止めようとするあまり治療の開始が遅れてしまうことがあったり、逆に、乳児の食物アレルギー治療で疑わしい食物を手当たり次第制限するあまり、栄養のバランスが崩れて成長・発達に影響が出るという例もあります。
アレルギー治療としての生活制限(食物制限、行動制限)は「明らかに疑わしいものだけを」「完全に」「医師の指示のもとで」行うべきです。当然、患者さんのみならず家族の方々にも多大な苦労を強いることになるので、自己判断で中途半端な制限をすることは絶対に避けなければなりません。
ぜんそくやアトピー性皮膚炎では適切な薬物療法を行うことで症状を抑え、普通の人と全く変わらない生活を送ることが可能です。薬物治療にも様々な種類のものがありますので、症状の強さに応じた強さの治療を行います。効かない治療を続けることに意味はありませんから、治療の効果が今ひとつだと感じた場合には、医師に「この治療は効きませんでした」と伝えてください。


民間療法は?
ほとんどの民間療法は、有効性や安全性が確立されていませんので、場合によっては思わぬ副作用や健康被害を被る可能性があります。「内側から治す」「アレルギーを根本から治す」「○○を使うだけで症状がすぐ消える」などの宣伝文句が書かれているものは注意が必要です。中には詐欺まがいの悪徳業者や新興宗教など、およそ治療とは呼べないものもありますので、民間療法には手を出さないに越したことはありません。


このように、アレルギーかもしれないと言われても、アレルギーと確定診断されているわけではありませんから、専門医と相談の上、適切な治療を選んでください。修行のような厳しい治療が、必ずしもいい治療であるとは限りません。アレルギーの治療は長期にわたることが多く、ほとんどが家庭でおこなうものですから、治療の目的や薬のことなど、よく分からない点や心配な点があったら納得するまで医師に質問してください。納得して治療を続けることが、アレルギー克服への一番の近道です。


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