産婦人科

不妊外来

不妊外来では基本的な検査を行っています。
妊娠しにくい原因、年齢、治療歴などをふまえ、患者様のご意向に沿って方針を決めています。
当院ではタイミング指導、人工授精(AIH)を行っています。
より負担の少ない方法から開始し、妊娠結果が得られない場合にはステップアップをしていきます。
それぞれの治療の回数は6~7回が目安と考えられていますが、年齢やご希望を考慮し、治療回数を短縮してステップアップすることもあります。
ART(生殖補助医療)治療が必要な方は連携施設にご紹介いたします。


診療日

・第2・4・5月曜日の午後
・毎週火曜日の午後
・毎週金曜日の午後
※祝日は休診です

診察は完全予約制です。
診察をご希望の方は、下記の予約受付時間内にお電話で予約をお取りください。

TEL:0463-94-2111(代表)
お電話口で「不妊外来の予約希望です」とお伝えいただき、
産婦人科外来に電話をつないでもらってください。

不妊外来予約受付時間

月曜日~金曜日 15:00~16:30(祝日、年末・年始を除く)

  • ※回線が大変込み合いお電話がつながりにくい場合もあります。
    その際には、お手数ですが時間を空けてから再度おかけ直しください。
    なお、午前中の一般婦人科外来を受診された方は、診察後に不妊外来への予約を行います。

基本検査の内容

卵巣機能・排卵因子

ホルモン基礎値検査(月経開始後3~7日目頃に行います)

  • ・・・排卵しにくい原因がないかを調べます。

項目

  • FSH(卵胞刺激ホルモン)
  • LH(黄体形成ホルモン)
  • プロラクチン
  • 卵胞ホルモン(エストラジオール)
  • 男性ホルモン(テストステロン)

黄体ホルモン(プロゲステロン)検査(高温期5~9日目に行います)

  • ・・・黄体機能不全がないかを調べます。

甲状腺刺激ホルモン検査

  • ・・・甲状腺機能に異常がないかを調べます。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査

  • ・・・卵巣の機能の評価及び治療方針の決定を目的として行います。

基礎体温測定


経腟超音波検査による卵胞計測

  • ・・・卵巣にある卵胞(卵の入っているお部屋)の大きさを計測し、卵胞の発育状態を確認します。子宮内膜の観察も行います。排卵の時期を予測します。

精液検査

当院での精液検査には精液検査(保険)とSQA精液精密検査(自費)があります。

精液検査(保険)

精液量、精子濃度、運動率、奇形率を検査します。


SQA精液精密検査(自費)

精液量、精子濃度、運動率(前進運動率、非前進運動率)、SQA推定正常形態率、精子自動性指数、高速前進運動精子濃度を測定し、より詳しく検査をします。


精液検査の前は2~7日間の禁欲をします。
病院よりお渡しする滅菌容器に検査当日に直接マスターベーションにより採取します。

  • ・・・説明書を用意しております。

感染症検査

クラミジア・淋菌検査
クラミジア抗体(IgA、IgG)検査


超音波下卵管通水検査

卵管の通過性を調べる検査です。
月経が終了してから排卵までの低温期に行います。
感染予防のための抗生剤を検査当日の検査前より内服を始めます。
子宮の入口より子宮腔内に専用のカテーテルを挿入し、バルーンをふくらまして固定します。
経腟超音波検査で観察をしながら、生理的食塩水を子宮内に注入していきます。
卵管内での生理的食塩水の流れは観察できませんので、左右の区別はわかりません。

  • ・・・説明書を用意しております。

免疫因子

精子不動化抗体検査


その他の検査

身長・体重測定

血圧測定

一般検査(血算、生化学、血糖、HbA1c、検尿)


風しん抗体検査

  • ・・・神奈川県風しん抗体検査(無料)は地域医療連携室で受付をします。

子宮頚部細胞診


経腟超音波検査

  • ・・・卵胞計測のほかに子宮筋腫、卵巣嚢腫などの異常がないかも調べます。

一般不妊治療計画

・・・初診の翌月以降に行います。

治療

タイミング指導

排卵が予想される少し前に経腟超音波検査を行い、卵胞の発育状態や子宮内膜の状態を観察して排卵の時期を予測します。
卵胞の発育は通常1日に1~2㎜大きくなります。
排卵間際の卵胞の大きさは約20㎜くらいです。
タイミング指導は排卵の少し前~排卵直後までに行います。

人工授精(AIH):保険診療

調整した精子浮遊液を子宮腔内に直接注入する方法です。
受精は自然妊娠と同じく卵管でおこります。
その後の胚の着床や発育も自然妊娠と全く変わりません。

人工授精を行うタイミングは、排卵の少し前から排卵直後までに行います。
タイミング指導と同じように排卵が予想される少し前に経腟超音波検査を行い、卵胞の発育状態や子宮内膜の状態を観察し、排卵の時期を予測します。
必要に応じてヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)注射にて排卵をうながし人工授精を行います。感染予防のための抗生剤を人工授精当日の朝より内服を始めます。

人工授精では運動性が良好な精子を集めたり、精液内に含まれる不純物を取り除くための精液調整を行います。
調整は約1時間かけて密度勾配遠心法で行います。
調整された精子液を専用のカテーテルを用いて子宮の内腔に注入します。

人工授精の適応

  • 精子数が少ない乏精子症や精子の運動率が低い精子無力症、あるいは精液の量が少ない方
  • 勃起が不完全で性交ができない方や、勃起はするものの性交では腟内に射精できない方
    セックスレスによる不妊症の方
    女性側に強い性交痛があり性交ができない方
  • 頸管粘液の性状や量に問題があり、精子が子宮内に十分入っていけない場合
  • 基本検査にて不妊原因が特定できない機能性不妊(原因不明不妊)の方

排卵誘発治療

自然では排卵が難しい方には慎重に排卵誘発治療を行います。
ヒトは本来1周期に1個排卵します。
しかし排卵誘発治療では複数の卵胞発育がみられることが多いのが現状です。

排卵誘発治療のリスクには多発排卵、多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。
排卵障害の中でも特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方はリスクが高くなります。

これらのリスクを回避するために、16㎜以上の卵胞3個あるいは14㎜以上の卵胞4個となった場合、hCG投与中止・治療を中止いたします。

不妊外来担当医師

生方良延(生殖医療専門医・生殖医療指導医、産婦人科専門医)