栄養室
栄養とくとく話
2025年5月広報誌掲載
2025年3月広報誌掲載
たんぱく質+運動で筋肉を維持しましょう!
筋肉量は、加齢とともに筋肉の合成力が落ちるため減少しやすくなります。筋肉量が減ると基礎代謝量も落ち、肥満や生活習慣病などの様々な病気を引き起こす原因となります。
〈筋肉を維持・増加させるためポイント〉
■良質な「たんぱく質」を摂取する
筋肉を作るために必要な栄養素は「たんぱく質」です。特に良質なたんぱく質を多く含む肉・魚介・大豆製品・卵類を毎食揃えましょう。 (※体の大きさや身体活動レベルによって必要量には個人差があります)
■「運動習慣」を身に付ける
上記のたんぱく質の摂取とともに運動をセットで取り入れることが鉄則です。ウォーキングや筋トレなど自分の体力やライフスタイルに合った量や強さの運動から取り組み、習慣化しましょう。
2025年1月広報誌掲載
クリスマスに年末年始と、お酒を飲む機会が多い時期になりました。人が集まる賑やかな場所ではついつい飲みすぎてしまうことも。飲酒に関するガイドラインでは、少量の飲酒であっても高血圧や男性の食道がん、女性の脳卒中など特定の疾病において発症リスクが上がることが記載されています。よって、1日の純アルコール量の適正量である20gを守っていても、全ての疾患を絶対に予防するとは言い切れません。しかし、アルコールが及ぼす身体への影響は年齢、性別、遺伝など個人差がありますが、純アルコール量の適正量を守り、自分に合った飲酒量を考えることで、その他多くの疾患にかかる可能性を減らすことができます。健康に配慮した飲酒を心がけましょう。
(※持病がある方は医師と相談の上、飲酒の可否を決めましょう。)
2024年11月広報誌掲載
味がしない…、疲れやすい…。それって味覚異常のサインかも?
亜鉛とは
からだの健康維持に欠かすことのできない「必須微量ミネラル」です。食が細くなりやすい高齢者は、亜鉛不足を招くケースがあります。また、加工食品に多く含まれるポリリン酸は亜鉛の吸収を妨げるため、コンビニやスーパーなどの偏った食生活を送っている方も、亜鉛不足に注意が必要です。
亜鉛が不足すると
味覚障害、食欲不振、貧血、免疫機能低下、皮膚炎、骨粗鬆症などを引き起こします。
特に高齢者は寝たきりによる血流不良・栄養状態の低下・失禁による湿潤が原因で「褥瘡(じょくそう)」(床ずれ)を起こしやすく、その予防や治療にも亜鉛がとても重要とされています。
亜鉛を含む食品
牡蠣、カシューナッツ、豚レバー、牛赤身、卵など、
ピタミンCや動物性たんぱく質食材と一緒に摂取すると吸収率がUPします。
2024年9月広報誌掲載
9月に入っても暑い日が続き、食事がすすまない方も多いと思います。食欲アップには食事の美味しさのもとである「うま味」が欠かせません。「うま味」とは、塩味、甘味、酸味、苦味と同じ基本味の一つです。また、うま味成分は何種類もありますが、知られているのが、「グルタミン酸」、「イノシン酸」、「グアニル酸」の3つです。
【うま味の相乗効果】
特定の組み合わせで、単独で使うよりもうま味が7~8倍に感じられると言われています。その現象を「うま味の相乗効果」と呼びます。また、減塩料理への活用も効果的です。うま味を利用することで、食事の満足度が上がり、美味しさを損なわずに減塩につなげることが出来ます。
2024年7月広報誌掲載
主食のご飯は何を選んでいますか?
炭水化物は3大栄養素のひとつで、脳や体を動かすといった主にエネルギー源として利用される大切な栄養素です。体内の消化酵素で消化できる「糖質」と消化されない「食物繊維」に分けられます。主食を摂ることは、筋肉量を維持するためにも大切なため、糖質の量が気になる方は「ご飯の種類」を変えて食物繊維を増やしてみてはいかがでしょうか?
『白米』もちもちした食感で甘味がある。不溶性食物繊維が主に含まれているが、糖質の代謝を助けるビタミンB1が少ないため、他の食品から補うことが大切。
『玄米』精米していないお米のことで、白米よりビタミンB群が多く含まれている。食感がやや硬い。
『麦ごはん』食物繊維などが多い。中でも水溶性食物繊維のβグルカンという物質は血糖値の上昇抑制や血中コレステロールを低下させる作用が期待されている。麦にも用途により種類があるが、加工しても食物繊維の量が減らないのが特徴。
『雑穀米』玄米、あわ、キビ、もち麦などを白米に混ぜ込んだもので種類が豊富。食物繊維等を増やすことができる。
『こんにゃく米』こんにゃくをお米の形に加工して、お米と一緒に炊いて食べるもの。エネルギーと糖質を抑え、食物繊維が多くなる。中でも水溶性食物繊維のグルコマンナンは血糖値の上昇抑制や血中コレステロールを低下させる作用が期待されている。
『カリフラワーライス』糖質は白米の1/16、ビタミン・ミネラルなどが豊富。お米ではないため、さっぱりとしている。
2024年5月広報誌掲載
加齢とともに変化する「味覚」について
「味覚閾値」という言葉を知っていますか?これは人が味を感じるのに必要な刺激量の最低濃度を指します。歳をとると味を感じる味蕾の細胞が減少するため「味覚閾値」は高くなります。つまり、味を感じるために必要な刺激量(甘味・塩味・酸味・苦味)が増える、より濃い味付けが必要になるということです。知らず知らずのうちに濃い味付けを好むようになっていませんか?塩分の取りすぎは高血圧を引き起こし、糖尿病患者さんは砂糖やみりんの使い方に注意が必要です。料理の味付けやメニューの選び方を見直しましょう。
〈薄味でも美味しく食べるポイント〉
①よく噛んで食べる…味蕾は液体に反応するため、咀嚼して唾液と食物が混ざることで味を感じやすくなる
②酸味を生かす …酸味は塩味・甘味と比べて閾値が低いので味を感じやすい
③食生活を整える …食生活が乱れると味蕾の細胞に必要な亜鉛が不足し、味を感じにくくなる
2024年3月広報誌掲載
葉酸が妊娠のごく初期に欠乏すると、胎児の神経管閉鎖障害の危険性が高まると言われています。葉酸には他にも動脈硬化の予防に重要な役割を果たしていることがわかってきました。
葉酸は「ホモシステイン」という物質をメチオニンに変換する時に必要となる栄養素の一つだからです。
ホモシステインという物質が血中に多くなると、動脈硬化や血小板の凝集、血栓形成の促進などによる血管系疾患や骨粗鬆症の発症に関係するなど、健康リスクが高まってしまいます。
年齢問わず、葉酸をしっかりと摂取することが大切です。
2023年1月広報誌掲載
食事を『咀嚼』することの重要性
日本人の咀嚼回数は食生活の変化と共に低下傾向にあり、1回の食事あたり戦前は約1400回だったのに対し、現代は約600回と言われています。
咀嚼することのメリット
○肥満防止…咀嚼回数が少ない=早食い は肥満リスクが倍以上に。
満腹中枢の正体は脳神経のヒスタミン。内臓脂肪を減らす働きがあります。
○脳の発達…脳への血流量が増し、脳細胞の働きが活発に。認知症の予防にもなります。
○歯の健康…唾液の分泌量が増えることで、虫歯や歯周病を予防します。
○代謝促進…消化器官への血流量が増え、消化活動によるエネルギー消費量が増えます。
一年間よく噛む事を意識した人とそうでない人の差は約11000kcalです。
咀嚼回数の目安は1口30回です。あえて咀嚼を要する食材を選ぶのも良いでしょう。
ゆっくり食事を楽しみながら、マスク生活で衰えやすい口全体の筋肉を鍛えましょう。
2023年11月広報誌掲載
年末年始はなぜ太る?正月太りしないために気を付けること
年末年始はさまざまなイベントがあり、体重が増加してしまったと悩む人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、年末年始の食生活の注意点をご紹介します。
① 食べ過ぎない。飲み過ぎない
長い休みは豪華な料理やアルコールなどを食べる機会が増える時期です。暴飲暴食を繰り返すことで体重増加につながる可能性があります。
② おせち料理はバランスを考える
おせち料理は砂糖や塩分が多く、偏りがちです。雑煮は具だくさんにし、野菜や海藻類もたっぷり摂りましょう。
③ 3食食べる
起床時間が遅くなり、生活リズムが崩れやすくなります。だらだらと食べてしまったり、朝食を欠食することがあります。生活リズムを整え、3食食べましょう。
④ 果物は箱買いしない
冬は果物がおいしい時期です。特にみかんは箱で買うとつい多く食べてしまいます。箱買いをしないで必要分のみ買う事もひとつの方法です。
新しく迎える1年のためにも、未然に防ぐ事が大切ですね。
2023年9月広報誌掲載
あなたは大丈夫?「秋バテ」対策をしましょう!」
暑さも落ち着く9月下旬頃から夏バテに似た症状が出てくることがあります。
これを「秋バテ」と言い、夏の間にためてしまった疲れと体の冷えにより、自律神経の乱れと血のめぐりが悪くなることで以下の症状が現れます。
〈秋バテの主な症状〉
・体がだるい ・疲れやすい ・食欲がない ・胸焼けや胃もたれ ・めまい、立ちくらみ
・肩こりや頭痛がする
〈秋バテ対策ポイント〉
①冷え対策 ②質の良い睡眠 ③適度な運動で体を動かす ④体を温め、ビタミンやミネラルが豊富な食材を取り入れる ☆体を温める食べ物…しょうが、にら、ねぎ、唐辛子
2023年7月広報誌掲載
マグネシウムは私たちの体に必要なミネラルで、主に骨や歯を作るのに役立つ栄養素です。他にも神経機能、筋肉の収縮弛緩、エネルギー代謝、さらにホルモンの分泌などに関与しています。
マグネシウムが長期で不足すると、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病のような生活習慣病のリスクが高まります。
また、便秘薬にマグネシウム剤を使用するように、マグネシウムには水分吸収を高め、水を含みやすくなることで、便がやわらかくなります。そのため食物繊維などと同時に摂れば、便のカサを大きくすることもでき、腸のぜん動運動を助けて便秘解消に繋がることができます。
サプリメントからの摂取もできますが、過剰摂取はしないように注意しましょう。
また、腎機能が悪い人は注意が必要なため、主治医に確認しましょう。
2023年5月広報誌掲載
近頃メディアなどで激辛料理を耳にしますが、辛味成分は身体にどんな影響を与えるのでしょうか?そもそも「辛味」は味覚の五味(甘味・塩味・酸味・旨味・苦味)に含まれず、痛覚に近い感覚とされています。辛味成分の中でも代表的なものは、唐辛子に含まれる「カプサイシン」です。
○痛み・灼熱感をもたらす
カプサイシンが引き起こす灼熱感は口腔内から気管支や消化管全体に及び、
強い刺激で気管支収縮を引き起こし、息切れや咳が出ます。
また、肛門部にカプサイシンの受容体が多く存在するため痛みが生じます。
○消化管への影響
少量摂取では胃酸分泌を抑制するため胃粘膜を保護しますが、多量摂取では感覚神経の受容体が機能不全を起こし、胃痛や下痢、胃食道逆流症などの消化器症状を起こすことが動物試験で報告されています。
○代謝への影響
消化管で吸収されるとアドレナリンが分泌され、体温をあげて発汗を促し、脂肪やエネルギー代謝を促進させます。
具体的な上限量は定められていませんが、辛味成分の極端な多量摂取は避け、
美味しく食べられる常識的な範囲で、料理に生かしましょう。
2023年3月広報誌掲載
~時間栄養学で体内時計を整える~
近年、私たちの体には体内時計が備わっており、食事や生活リズムによって体内時計が動くことが分かりました。今回は、「いつ」食べたら良いかという時間の概念を取り入れた「時間栄養学」をご紹介します。
2023年1月広報誌掲載
近年は多くの食品パッケージで“○○ゼロ”や“○○オフ”など特定の栄養素が強調された表示を目にしますが、
その意味を正しく理解し購入できていますか?
食品表示法では強調表示について、
特定の栄養素を①含まない旨、②低い旨、③低減された旨の3つに大別しています。
また、100mlあたりの基準であるためカロリーゼロの飲料水をペットボトル1本(500ml)飲むと、
砂糖小さじ2杯分のカロリー(約24kcal)を摂ってしまう可能性があります。
よって、これらの表示があっても多量に摂取すれば、結果としてエネルギー摂取量が増えることになります。
“○○ゼロ”や“○○オフ”といった食品に頼り過ぎず、食事全体のバランスや量を考えることが大切です。
2022年11月広報誌掲載
骨を構成する成分のうち、カルシウムは重要なミネラルです。
日本人は不足しがちになっています。
そこでビタミンDと一緒に食べることでカルシウムの吸収率を上げましょう。
ビタミンDを増やすには・・・
① 食品から・・・鮭やうなぎなどの魚類、きのこ類に多い
② 日光から・・・紫外線が皮膚に当たることでも産生される。
(目安→夏の昼間:約5分以上、冬の昼間:約20分以上)
※5.5μg分のビタミンD
1日あたりのビタミンDの目安量は『8.5μg』(例:食品から3μg+日光5.5μg)